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(ファイターズメガミックスの巻)
 ゲームソフトのメディアがCDになり、ゲームの中身だけではなく流通の面でも大きく変化することとなりました。「CDロムになったら品切れしにくくなる」と言われていましたが、CD自体は簡単にプレスできるものの説明書等の印刷物に時間がかかるため、実際は2〜3週間品薄になる言う事も珍しくはありませんでした。それでもかつてのロムカートリッジ時代に比べ「初回受注の一発勝負」がなくなった分、小売店の負担が減るはずだったのに…

 ワゴンセールで必ず見かけるサターンソフト「ファイターズメガミックス」。セガを代表する対戦格闘ゲーム「バーチャファイター」と「ファイティングバイパーズ」のキャラクターが登場することで注目され、年末商戦のビックタイトルになるはずでした… 。ゲームとしては普通に面白いのですが、サターン時代のセガソフトに良くみられる「無理な納期で作られた」感がひしひしと伝わってきます。何よりもせっかくウリである隠しキャラクター作りこみの甘さが明らかにこのゲームが未完成であるとを物語っています。
それでも事前の予約と発売当初は順調に売れていたのですが…
同キャラ対決。しかし一方はデフォルメキャラ…
アーマーが外れると「やまだたろう」になるレンタヒーロー。バッテリーの残量があったり、BGMがあのテーマ曲(歌付き!)が流れたりと、無駄にこっています
もうこうなるとやりすぎです。ああ、ソニックの格闘って作ってたんだなぁとしみじみ思ったものさ…
 発売直後からどんどん値を下げ、あっと言う間に半額になり、980円になり、今では新品なのに100円とか10円とか酷い値段で処分されているこのゲーム。それはなぜかと言いますと「在庫が過剰だったから」です。しかし小売店の受注にミスがあった訳でありません。
当初このソフトはコンビニ販売分(デジキューブ)と既存の販売店で半分ずつ納品されるという情報があったため、販売店側は欲しい数の倍の本数を発注したのです。しかし発売日の3〜4日前に突然「デジキューブ側の受注がすべてキャンセルになりました」との連絡があり、本来の売れると見込んだ倍の本数が当たり前のように来てしまったからさあ大変! そうなるとどの店舗も早く在庫を減らそうと激しい値下げ合戦になり、あのような急激な販売価格の下落になってしまったと言う事なのです…

 結局この件でみんな損したと思います。発売日当日に通常の値段で買ったユーザー、過剰な在庫を持つ事となった販売店、商品と会社のイメージを悪くしたセガ、一般の販売店から恨まれたデジキューブ(元々小売店はデジキューブに良い印象を持っていませんでしたが)。こんなに悪い意味でゲーム業界に影響を与えた作品は後にも先にもこれだけであって欲しいと思いますね…

 ちなみに昨年に発売されていたサターンの「バーチャファイター2」は商品価値を落とさないように、受注本数を何回かに分けて納品し、売れ行きによっては残りの納品をキャンセルできるというシステムを取っていました。今回も私はてっきりある程度セガが回収してくれるものだと信じていましたが、すでにもうそんな余裕はセガにはなかったのでしょうね…
 世間ではプレイステーションにファイナルファンタジーが出る事でサターンの敗戦ムードが高まりましたが、それ以外にも今回の件が大きく影響しているものと思われます。私もその後ユーザーの好みがハッキリしているサターンは適当に発注し、一般層を巻き込んで何がブレイクするか分らないプレステの発注に力を入れるようになりました。

 次回はたぶんファミコン最後のRPGになるはずだったあのソフトのおはなしです。そう! 後にスーパーファミコン版が違った意味でブレイクしたあのソフトです…

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