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(ラブクエストの巻)
 個人の名が出るゲームクリエイター。しかし実際は一人でゲームを作るわけではないので、チームをうまくまとめる事や、開発スケジュールを組めるといったどの企業でも必要とされる能力が大切となります。ましてやゲームの開発規模が大きくなってきた昨今、完成度の高いゲームは出ても開発者の個性がでるような作品は出にくくなっているような気がします… 

 徳間書店から発売されたスーパーファミコン用ソフト「ラブクエスト」。この作品は一度ファミコン用として完成していたものの、とある事情で発売中止になってしまった過去があります。その事情とは「今はファミコン末期で時代はすでにスーパーファミコン全盛期、もはや旧ハードで出しても売れない」と言うものでした。同じような理由で世に出なかったファミコンソフトは他にもあると思いますが、コレはやめればいいのにスーパーファミコン用ソフトとして復活してしまったのです… ホントやめればいいのに…
 ゲーム内容を簡潔に説明すると、さらわれた婚約者を探し出すというドラゴンクエストのパロディ的な作品なのですが、シナリオ部分が毒々しいまでの個性を放っています。
精神が弱っている時にプレイすると確実にヤラレるので注意してください。

まともな会話を期待してはいけません。コレが市販されていたとは恐ろしい…

 この作品で一躍有名になったのが企画者のイワタカヅト氏。私は何度もファミコン版の開発現場を覗いた事があり,一時期は(今も?)志茂田景樹ばりの強烈なファッションでマイナーなゲーム雑誌に良く出ていましたが、その頃はデビュー当時の南こうせつ(南高節)に似た坊主頭に黒ブチメガネといった大人しい格好でした(まあこれでも十分個性的なんですが…)。それに
なぜかいつも岩田さんのモニターはファミコン版のラブクエストかモータルコンバットが映っていたので、その頃から「変わった人だなあ」と思っていたものです。

かなり趣味の良くないモータルコンバット。誤った「東洋の神秘」が逆にマニアックな人気を呼びましたな…

 やがてファミコン版ラブクエストが完成。恐ろしい事に販促用のプロモーションビデオもあり(たしかナレーションが当時セーラームーンで人気の
三石琴乃だった)、一度だけゲーム誌のファミリーコンピューターマガジンにも広告が載りました。ちなみに最終テストプレイヤーはファミマガ編集部員だったりします。残念ながら私は機材(ファミコン本体)不足なためテストプレイは傍らで見ているだけでしたが…

しかし後日、先に述べたように「ファミコンソフトはもう売れない」と言う理由で急遽発売中止(これもまたファミマガで謝罪広告が出ました)。その後私は徳間書店を辞めたので詳しくは知りませんが、約一年後なぜか気が付くとスーパーファミコン版が売っているではありませんか! 
その後は歴史に残るバカなゲーム(バカゲー)として、開発者である岩田さんまでもが注目されるようになったのです…

戦闘画面。クレヨンしんちゃん風のいびつなグラフィックですが、キャラクターデザインは漫画家の弓月光だったりします…

ちなみにファミコン版が完成後、岩田さんは徳間を辞めてしまいましたのでスーパーファミコン版の移植には関わってないと思われます。
その後仙台のラブクエストチームは同時期に開発していた「永遠のフィレーナ」に行ったと思いますし、東京の開発チームも時期的に「魔導物語」を開発していたでしょうから、おそらくどこかの下請け会社にファミコン版のロムを丸投げして移植をしたと思います。少なくともファミコン版では敵キャラクターがこんなにいびつじゃなかったはずだったので…(オープニングの選択しだいでいきなりスタッフロールがでるのは元からです)

徳間書店を去る岩田さんの最後の言葉、
「秋葉原で会いましょう」が未だに印象深かいです…

 次回は時代を読めずに消滅してしまったセガのおはなしです。
 えっ、今もあっるて? 違う、違うんだよ、セガってのはなぁ… ううっつ…(泣)

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