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(ゼビウスの巻)

 2000年あたりから急激に失速してきたゲーム業界。ハードの進化がソフトの退化に繋がると誰かが言っていましたが、たしかにそのとおりだと思います。主観的に見ればスーパーファミコン、客観的に見てもプレイステーションくらいの性能で十分だと思うんですがね…  と、軽くぼやいてみました。
1983年に登場した「ゼビウス」はシューティングゲームとしてはもちろんの事、テレビゲームのあらゆる分野に多大なる影響を与えた作品でした。今では珍しくない事ですが、ゲームミュージックが「音楽」として注目されるようになったり、ゲームクリエーターが個人で注目されるようになったり、同人誌でゲーム攻略本が出たりしたのはこの作品からだったりします。
ゲームの内容は地上と空中に弾を打ち分けて敵を倒すと言うもので、インベーダー時代から脈々と受け継がれる「狙って撃つ」地上への単発弾と、空中の敵への連射弾の組み合わせが絶妙なものの、決して当時それが斬新だったと言う訳ではありません(コナミのスクランブルの影響があったそうです)。この作品の凄さはその「ゲームの作り方」にあります。ある種の記号にも似た無駄のない敵機のデザイン、単調でありながらも神秘的なBGM、何もないはずの所を撃つと出現する隠しキャラクターなど、すべてにおいて当時の作品の基準を超越していました。
当時このゲームで知ったナスカの地上絵が実在すると知ってびっくりしたもんです
 「ゼビウス」の産みの親として知られる遠藤雅伸氏はナムコに入社まもない頃に「縦スクロールで2種類の弾を撃つゲーム」と言う大雑把なゲームの企画を任せられ、それに自作のSF小説「ファードラウト」の世界観を持ってきて作られたそうです。また開発当初は「ダイナブラスト」や「パンツァー」と呼んでいたものの、会社側で強制的に「ゼビウス」に変えられたという逸話もあります。
 この作品の凄い所は、数多くの噂や隠しキャラの場所などの情報交換で、ユーザー同士の距離をぐっと縮めた作品であることです。後にそれらは当時の遠藤氏のプログラム技術が高くなかったためにおきたバグや、メーカーから公表されたあいまいな情報が広まったりしただけだと判明したのですが、それでも何か意図的なものがあるのではとユーザーに思わせるだけの魅力があったのでしょう。それゆえにこの作品に対する思い入れの強いユーザーがいまだに多いのも納得できます。

 大ヒットとなったこの作品は数多くの機種に移植されたり、個性的なアレンジ版が作られたりしましたが、遠藤氏による正統な「続・ゼビウス」はよほどの事がない限り作らないそうです。まあ元々が「ファードラウト」だけに、このゼビウスの伝説はこのままフェードアウトしていって方がいいでしょうね… 某横スクロールシューティングみたく「伝説から神話へ」なんてやっちゃってとんでもない事になったらそれこそ大変ですからな。

・参考資料
テクノポリス 1986年1月号(徳間書店)
スーパーゼビウス/ナムコ 復刻版(サイトロン)
スーパーアドベンチャーゲーム ゼビウス(創元推理文庫)
ゲームセンターCX(フジテレビ)
PCエンジン版「ゼビウス ファードラウト伝説」。オリジナル版+ストーリー付きのアレンジ版を収録。バランスを壊さない程度の控えめなパワーアップや、シオナイトがバリアになったり音楽アレンジのセンスが良かったりとなかなか楽しめる作品です MSX2版「ゼビウス ファードラウト伝説」。後方弾や拡散弾など機体性能の異なる4機から任意で選べる。ひそかにPCエンジン版と共にコンパイルの製作だったりしますが、こっちの方がムズカシイです
 次回はセガサターンのあの格闘ゲームはなぜいきなり値崩れしたのか? です。私は当時小売店で仕入れをやっていたのですがこれには頭にきた! でも悪いのはセガじゃなかったんですよね〜

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